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地球にやさしい森林利用

3.環境問題 木を使うことのメリット

(1)地球温暖化防止と森林

人為起源の温室効果ガスの総排出量に占めるガスの種類別の割合

地球温暖化を防止するための最優先課題として、地球温暖化に及ぼす影響がもっとも大きな温室効果ガスである二酸化炭素の排出を削減することが挙げられています。

 

具体的には、二酸化炭素の排出源である化石燃料(石油・石炭・天然ガスなど)の使用を抑えることですが、化石燃料に依存しきっている現代社会においては大変困難なことです。

 

そこで出してしまった温室効果ガスを減らす方法として、森林を利用して、二酸化炭素をバイオマス(幹や根などの樹木)に封じ込めてしまう方法が有効です。この方法は先の京都議定書の第一約束期間(2008年~2012年)における目標達成の過程でも採用され、大きな成果を上げています。

森林の樹木は光合成により成長しながら、大気中の二酸化炭素を取り込み、同化・固定します。しかも、年々樹体に蓄積されていくので、二酸化炭素の温室効果ガスの吸収源として大変有効です。特に、人の手で育てる育成林は成長が早く、健全に保つことができれば、どんどん二酸化炭素を吸収するとともに酸素を発生させながら炭素を蓄え成長します。

 

このように、樹木が成長すると、大気中の二酸化炭素が樹体内に埋め込まれます。特に森林は長い年月にわたって成長し続ける樹木が集まっている為、大気中の二酸化炭素の吸収に有効です。しかも、木材となって、住宅や木製品として使われても、二酸化炭素は炭素として固定されたままです。

 

つまり、森林の樹木は、大気中の二酸化炭素を、長年にわたり幹や枝、根など、さらにはは木材の中に固定・蓄積できるのです。

(2)木材の炭素貯蔵効果

森林の木々は、光合成により大気中の二酸化炭素を吸収し成長します。

さらに樹木が伐採されて、木材として使用されている間も貯蔵されたままです。

身の回りに木製品が増えるほど、大気中の二酸化炭素を減らすことになり、温暖化防止に役立つことになります。

 

この効果は木製品が廃棄されて燃やされるまでずっと有効です。

木造住宅も森林と同じように二酸化炭素を固定したままなので、「都市の森林」、「第二の森林」などど言われます。

 

つまり、私たちが木造住宅を造ったり、木製の家具を使うことは炭素を貯蔵する行為と同等です。

 

化石燃料の消費により、大気中の二酸化炭素が放出され、地球温暖化が進行している現在では、木造住宅をはじめとした木製品を身の回りに増やすことが地球温暖化の進行を阻止することになります。

木材(木質系材料)は使用しながら大気中の二酸化炭素を減らす可能性を持つ唯一の資源です。

 

カーボンニュートラル

木造住宅や木製の家具を解体し、燃やしたときには二酸化炭素を放出しますが、もともと大気中に存在していた二酸化炭素なので、長期的に見れば、大気中の二酸化炭素の増減はありません。

この考え方は「カーボンニュートラル」と言われています。

カーボンニュートラル

参考文献・出典 財団法人 日本木材総合情報センター・全国木材協同組合連合会「木が守る地球の暮らし」をもとに作成

(3)育成林を上手に活用

地球温暖化の大きな原因として、人間の経済活動に伴う化石燃料の消費による二酸化炭素の排出が挙げられています。

この化石燃料の使用により増えた二酸化炭素は放っておいても消滅せず、宇宙空間へ逃げることもありません。

つまり、人間が大気中に増やした二酸化炭素は人間の力で減らさない限り、地球温暖化は止められないのです。

 

二酸化炭素の排出削減作戦として、一般的には消費電力の削減をはじめカーボンオフセット製品の製造・購入等があります。そしてもう一つ、森林による二酸化炭素吸収が挙げられます。

二酸化炭素を吸収する能力は若齢段階(林齢が10~40年生程度)が最も活発で、広葉樹よりも針葉樹の方が大きいことが分かります。

日本の育成林は主にスギ・ヒノキなどの針葉樹から構成されているため、育成林を上手に活用することが二酸化炭素吸収つまりは地球温暖化防止につながるのです。

日本では70年ほど前から育成林としてスギ、ヒノキなどの苗木を植えはじめ、それが今、約1000万haの育成林として広がっており、収穫期を迎えています。

 

収穫期の森林は木材として使えるまでに成熟しており、二酸化炭素をあまり吸収しなくなっています。

今、日本の木を伐って、使って、成長盛りの若い木を植えることが、地球温暖化防止につながるのです。

また、次世代に森林資源を残すためにも森林を更新する必要があります。

収穫期を迎えた今の日本の森林資源を住宅や家具、内装、紙、玩具などの日用品などとして、積極的に活用する。そして伐ったところには若い木を植えて二酸化炭素をたっぷりと吸収してもらう。このことが持続可能な森林の保護・育成であり、地球温暖化防止につながるのです。

樹種別・林齢別炭素吸収量

日本の育成林の林齢別構成(昭和60年と平成24年との比較)

参考資料・出典 林野庁「森林・林業白書(平成16年度版)」/林野庁業務資料/森林総合研究所・温暖化対応推進拠点など

(4)森林を守る間伐

森林を守り、豊かに成長させるために欠かせないのが「間伐」です。

森林に苗木を植えてから15~20年位経ち木々が成長してくると、林の中が混み合い隣同士で枝葉が重なりあうようになります。

この状態ではそれ以上枝葉を広げることは難しくなり、お互いに成長を阻害してしまいます。

そこで、一部の木々を抜き伐ることにより枝葉を広げる空間をつくってあげます。

残された木は枝葉を広げることができ、より多くの光が降り注ぐようになって、健全に成長することができます。

このように混み合ってきた森林の木々の一部を抜き伐る間引き作業を「間伐」といいます。

間伐実績

資料:林野庁業務資料

京都議定書(2007~2012年)で日本は、温室効果ガス排出量を1990年比で6%削減することを約束しています。

その削減量の内、3.8%は森林の二酸化炭素吸収により確保するとし、温室効果ガスの削減に取り組んできました。二酸化炭素を吸収する健全な森林を維持するためには、間伐等を適切に行い森林を整備する必要があります。

その結果、5ヵ年平均で総排出量は基準年比1.4%増となる一方、森林吸収源対策では基準年比3.8%の吸収量を確保しました。

 

そして次の目標は、2020年度までの削減を2005年度比の3.8%減にすることと表明されました。

我が国の人工林は高齢化によって森林吸収量も減少する傾向にあり、将来にわたって森林の吸収能力を十分に発揮させるためには、伐採後の確実な再造林など森林資源の若返りに取り組み、成長に優れた種苗の増殖と普及を促進する必要があります。

(5)森林資源の循環利用

現在大量に消費されている鉄鉱石などの鉱物資源や、石油・石炭などの化石資源、プラスチックなどの化学製品は、将来的には資源が枯渇する背景にあります。

しかし、木材は森林伐採後に植林をするなど、再生産することが可能です。

つまり、持続可能な資源として木材を使用することは、地球環境にやさしい資源利用と言えるでしょう。

 

木材の場合は、木を育て、伐採し、建築物等に木材として使い、消費し、再び自然に戻る。そして、自然の力を利用して、木を育て、伐採し・・・。この循環では、木を伐採して、消費しても、同時に苗木を植えて、育てれば、木材として再び生産されます。

つまり「資源の生産を生むリサイクル」、いわゆる「緑の循環」です。

 

この「緑の循環」は、化石資源などを延命させるとともに、森林を維持することにも繋がります。

長期的に見れば、大気中の二酸化炭素を増加させることなく、持続的に資源の生産が可能です。

このため、木材は「持続可能な資源(サスティナブルマテリアル)」と言われます。

参考:森林・林業学習館

参考:林野庁HP

森林・林業学習館

木のはなし