接着の原理
接着剤とは
2つ以上の材料をつなぎ合わせることを接合といいます。接合の方法の一つとして、二つの面が化学的または物理的な力、あるいはその両者によって一体化されることを接着といいます。このとき、二つの固体面同士をつなぎ合わせる第三の物質を接着剤、接着される材料を被着材と呼びます。
接着の長所・短所
接着における長所・短所は使用する接着剤、被着材の種類により異なる場合があるため、どのような被着材を、どのように接着したいのかを把握することが重要です。
長 所
- 異種材料の接着ができる
- 釘打ち、ねじ止め、リベット止め、溶接、
はめ込みに比べて軽量化設計ができる - 表面を平滑にして美観、意匠性を保てる
- 気密性、水密性を保持
- 応力分散ができ、疲労耐久性にも優れる
- 振動性に優れる
短 所
- 接着作業にはある程度の熟練性が必要
- 表面の状態により接着強さが異なり、
加圧、加熱が必要 - 耐熱、耐寒性に限界がある
- 耐久性、耐用年数があらゆる環境で
十分に把握されていない
接着するための条件
接着には、3つの条件が必要です。
第一に接着剤は流動する物質であることです。
流動性があることで、被着材表面の凹凸を平らにします。
第二に接着剤が被着材の表面をぬらすことです。
接着のためには、接着剤は被着材表面で広がらなければなりません。
第三に被着材を濡らした後に固化することです。
接着剤は液体のままでは強度がでません。そのため、接着の効果を発揮するためには固化しなければなりません。

被着材表面には凹凸があります。

接着剤を塗布します。

液体の接着剤は被着材の表面を濡らして拡がった後、平らにします。

貼り合わせて固化させます。
接着剤が液体から固体に変化するときに強度が発現します。
接着に働く力
接着が起こる理由については、今でも十分に解明されていません。ここでは、接着に働く力について紹介します。
■接着剤が被着材表面の孔に入り込んで固化することを機械的結合といいます。接着剤が被着材中に錨のように入り込む様子から、投錨(アンカー)効果※ともいいます。
■被着材と接着剤の間では、お互いの分子が接近して強く引き合う力が働きます。この力を分子間力といいます。分子間力は、あらゆる接着に寄与していると考えられています。
■接着剤の分子と被着材表面の分子が化学反応によって結合することで接着される場合もあります。化学結合は、分子間力よりもはるかに強い結合力を持ちます。

※投錨効果イメージ

木材表面(300倍)